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第7話 あの日、自衛官になることを決めた

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陸上自衛隊多賀城駐屯地が開設されたのは昭和29年のこと。戦前は農地や宅地だったが、戦争が始まると旧海軍の工場が建てられ、弾薬やゼロ戦に付ける機関銃の部品が作られていたという。終戦後は米軍のキャンプ基地だった。

 

なかなか一般人は足を踏み入れる機会の無い場所だが、どんな人がどんな想いで働いているのだろうか。女性自衛官の星さや香さんにお話を聞いた。

 

2011年に東日本大震災が起きた時、星さんは小学6年生だった。七ヶ浜町の実家で被災し、津波が来る前になんとか近くの高台に避難できたものの、見下ろすと取り残された近所のおばあちゃんが首まで海水に浸かっている。そこに自衛官が駆けつけ救助をしていた光景が忘れられず、中学生の時に自衛官になることを決めたそうだ。

 

小学2年生から続けているミュージカル、中学時代はバスケットボール部に所属しながら駅伝の選手を務め、高校ではダンス部で活躍するなど、とにかく活動的な星さん。他にも夢が広がりそうな時期だが、自衛官への憧れは揺らがなかった。やりたいことは趣味で続けていければいいと言う。

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同期36名中、女性の自衛官は4名。所属するのは普通科中隊で、迫撃砲の弾薬手を務める。昔から負けず嫌いだった星さんは、部活や習い事でも常に妥協せず上を目指してきた。入隊前は男性の仕事というイメージが強かったが、実際に訓練が始まると「努力次第で男性と同等に働けると感じた」という。「男性隊員に負けたくない。男女の線引きをすることなく、同じように一隊員として働きたい」。危険を伴う仕事で、家族からは反対の声が上がりそうだが、昔から明朗闊達で体を動かすのが大好きだった星さんに「自衛官が向いてるのでは」と勧めたのは母親だった。

 

一方で、星さんにはお菓子作りという、自衛官のイメージとは真逆の趣味もある。実際、短大時代に製菓衛生師の資格を取得していて、定年退職後にカフェを経営するというしっかりしたビジョンを持っている。駐屯地での寮生活は、自由になる時間が少なそうだがそうではないようで、駐屯地内のバスケ部に所属していたり、勤務時間以外は習い事に通ったり、市立図書館や市内の飲食店を利用したりと充実しているそうだ。

 

今は階級が下から3番目。さらに上に行くには昇任試験を受けていくことになる。「生涯自衛官として働けるように昇任試験に合格したい。そして家庭を持つことになったら、仕事と家庭の両立をしっかりして、習い事も続けていければと思っています」と、最後まで真っ直ぐな言葉が印象的だった。

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星さや香/陸上自衛隊多賀城駐屯地第22即応機動連隊第1普通科中隊迫撃砲小隊弾薬手。七ヶ浜町出身。小学2年生から七ヶ浜町の劇団NaNa5931に所属し、定期的にミュージカルに出演している。好きなお店は「うまい鮨勘ゆとろぎ多賀城店」。

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