第11話 生まれ変わっても漫画家
絵を描くのは嫌いだったんですけど、小学5年生の時に週刊少年ジャンプで連載されていた「HUNTER×HUNTER」という漫画に衝撃を受けて、そこから自分も描きたいなって思い始めて、その頃から独学でここまでやって来ました。
原稿に描いて出版社に持ち込むようになったのは、ここ2、3年なんです。それまでは、ずっと趣味みたいな感じで描いていたんですが、漫画を描いている時間が一番楽しくて、他のこと忘れられるし自分の世界観の中で生きていられるなって。最初はダメ元で持ち込みました。そうしたら「担当になりたい」って名刺渡されて、そこから担当が付いたんです。他の出版社にも投稿したら電話が来て「個人的に丹藤さんの作品が好きなので、これから一緒に作って行きませんか」と言ってもらえて。今はその担当の方とやりとりしながら作品を作っています。
漫画家になるために一番重要なのは担当が付くかどうか。担当が付かないと漫画家は始まらないので、早めにスタートラインには立てました。賞を取って掲載されたらデビューになります。
全部独学でやって来たので、話の作りは素人同然。画力は描いてれば上がるので、話作りに力を入れて行きたいです。担当さんはすごく優しくて、親身になってくれるんですけど、ダメ出しも多い。指摘された部分を重点的にやっても、また別の部分を指摘されて、その繰り返しです。でも、そこがプロに一歩近づいた中で一番難しいところ。ここで心折れちゃう人もいるので。
見た目から、よく少女漫画描いてそうって言われるんですけど、少女漫画は描けないんです(笑)。私が描くのはバトルもので、脳内バイオレンスっていうか、妄想の世界。基本的に四六時中妄想してます。バイト中が一番妄想がはかどります。ラーメン屋さんですけど(笑)。小学校の時からずっと妄想してたので、いつの間にか妄想しながら同時に色んなことができるようになっていました。漫画描きながら友達とも電話できるし、どこにいても妄想してます。
デビューしたら東京方面に行きたいなとは思っています。アシスタント雇ったら近場じゃないと厳しいし。でも、多賀城から離れるのも実際は嫌なんです。歴史が大好きなので。多賀城は身近に歴史を感じられる場所もあるし、森とか山とか自然を描くのも好きで、車乗ってる時とかガン見しちゃいますね。一番好きなのが政庁跡。廃寺も森に囲まれてるし、神社も好きです。実は今描いてる漫画が宮城県を舞台にしていて、多賀城も出てくるんですよ。
狭き門ですが、漫画家になることしか考えていません。昔からそれだけを信じて生きて来たし、自分から漫画を取ったら何も残らない気がして。何も残らないって言ったら自分に失礼ですけど、やっぱり絵を描いている時が本当に楽しくて。絶対自分はなってやるんだっていう気持ちがあります。生まれ変わっても漫画家になりたいですね。
丹藤涼花/平成9年生まれ。漫画家の卵。漫画家を志す前に偶然受けた芸能事務所のオーディションで審査員特別賞を受賞し、声優・女優として芸能事務所に所属した経歴を持つ。一番好きな場所は漫画とフィギュアに囲まれた自分の部屋。