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第19話 ニホンミツバチに惚れた

養蜂を始めて16年になるかな。もともと床屋だった。2年前は床屋も引退して、ハチミツ専門になった。何で始めたかっていうと、床屋のお客さんから「ミツバチ飼い始めんだ」っていう話を聞いて、詳しく聞かせてもらったら面白そうで弟子入りした。野生のミツバチを巣箱に取り込んで、秋にハチミツを絞る。自然の蜂を操るんじゃなくて、私らが蜂に操られてるの(笑)。ある日突然いなくなったり、寒くなって蜜源の花がなくなってくると蜂が苛ついて攻撃的になったり。働き蜂は働けないとストレス溜まるみたい。セイヨウミツバチは家畜化されているのに対して、ニホンミツバチは昔から日本の野山に住んでいる蜂だから安定しないし、自分なりにマニュアル作っても、それを裏切られることがしょっちゅうある。それが面白い。

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16年やってきても、難しいな~ってつくづく思う。最初は熊の対策が分からなくて巣箱を襲われたり。それで巣箱を減らしたりしたけど、対策しても毎年ミツバチの数が減ってくるの。環境の変化がニュースで流れてくるのとは少し違う感じがするんだよね。例えば今年は花の咲いている期間が短い。巣箱は一番多い時で60箱あったけど、今は15箱。ニホンミツバチ飼っている仲間も苦労していて、やめちゃおうかなっていう人もいる。蜂に振り回されっぱなし。セイヨウミツバチに比べたらニホンミツバチは穏やかな性格なんだけど、それでも年に50回は刺されるよね。慣れちゃってるから「イテ~、やめろやめろ」っていうくらいだけど。

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セイヨウミツバチは一つの花が咲くと、集中して取りに行く習性があるから、アカシヤとかトチとかハチミツに名前が付いているんだけど、ニホンミツバチは様々な花から蜜を集めて巣の中で熟成させるわけさ。だから百花蜜しかない。春に巣箱を置いて、秋に1回だけ絞る。その絞る時が一番大変だけど、楽しみだよね。巣箱はハチミツが入ると、一箱で20キロにもなる。

普通だったら、ミツバチは自分たちで集めたハチミツで越冬するわけ。ところが私たちは欲張りだから全部取っちゃうの。その代わりに餌をあげて越冬させる。量が足りないと餓死しちゃう。だからといっていっぱいやると餌のハチミツと野山から取ったハチミツが混じり合うから、あんまり美味しいハチミツが取れなくなる。そこは勘で調整している。

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多賀城市と大和町に蜜源があって5箇所に置いてる。多賀城の場合は樹木があまりないでしょ。そうすると草花のハチミツが多いのよ。人の家の庭に行って、花から蜜とってくるの。大和町の方は広葉樹がいっぱいだから森の中に行ってとってくる。だから味がちょっと違う。山の方が芳醇で、多賀城の方がさっぱり系ね。

ニホンミツバチのハチミツを売っているだけじゃなくて、巣蜜とか、保湿クリーム、エコラップも作って販売してる。プラゴミが問題になってるでしょ。エコラップはプラゴミを減らし、環境にも優しいし、それに抗菌作用があるから野菜も長持ちするの。来年で多賀城に来て50年になる。求めてくれる人がいる限り、養蜂も、お店も、足腰立つうちはやりたいよね。

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千葉勝己/昭和17年生まれ。ニホンミツバチ養蜂家。多賀城市内と、別宅のある大和町で採蜜している。養蜂のスキルを活かして、多賀城市シルバー人材センターでスズメバチの駆除も行う。